2025年夏、自宅マンションの屋根の無い庭(温室ではありません)で、地植え栽培している複数のモンステラに花が咲きました。本ページでは、花が咲いたモンステラを代表して、斑入りのモンステラ(オーレア)の開花前から開花後までの様子をまとめています。モンステラの開花後の情報は、探すと沢山あるのですが、モンステラ開花直前の情報がなかなか無いため、モンステラが花芽を出す初動、開花前(蕾の状態)、開花の順番でモンステラの花をご紹介致します。なおモンステラを地植えで開花まで栽培している地域は湘南エリアです。モンステラの地植え栽培は、沖縄等の南国まで行かなくても湘南エリアで可能です。温暖な沖縄等の南国エリアで育つモンステラより、むしろ冬に雪も降る事がある湘南エリアで育て上げた方が耐寒性のあるとても強い株に育ちます。またモンステラを育てていらっしゃる方々は、南国よりも首都圏の方が圧倒的に多いと思いますので、モンステラに花を咲かせたい方々のご参考になればと思います。

目次

モンステラを地植え(庭)で開花させた履歴

モンステラを温室では無く屋根の無いマンションの庭で越冬させ開花

家庭栽培で花を咲かせた種類は、斑入りのモンステラ(オーレア)とモンステラスケルトンの2種類です。オーレアはモンステラボルシギアナの仲間、スケルトンはモンステラデリシオーサの仲間です。ボルシギアナ、デリシオーサ等、モンステラの種類によって花を咲かせ難い等の違いはありません。成熟させれば花が咲きます。

栽培開始から花を咲かせるまでの期間

花が咲いた斑入りのモンステラ(オーレア)は、植木鉢で2023年5月3日(過去の栽培記録はこちら)から栽培を開始し、一年後の2024年5月に地植え栽培へ移行。2024年11月から2025年2月まで屋外での地植えのまま越冬させ、22025年6月27日に花芽を確認しました。以下は植木鉢で栽培を開始した2023年5月3日の様子と、花芽を確認する直前の2025年6月25日に撮影したモンステラ(オーレア)の大きさの比較です。

Before

モンステラに花が咲くまでの様子

モンステラに花が咲く様子を開花前の初動の段階から時系列にまとめてみました。モンステラの開花後の情報はネット上に沢山ありますが、開花前、花芽(蕾)を出す初動の情報がなかなかありません。モンステラにこの様な動きが発生すると花芽誕生が近い事を示す初動についても時系列にまとめています。

複雑な形状の葉が開く

モンステラがとても複雑な葉を開くのは花芽を出す初動です。ボルシギアナでも穴の数が多くなり、葉の切れ込みの先端が二股に分かれるデリシオーサの様な葉が開いてきます。

複数の成長点から分岐開始

モンステラが分岐を開始するのは花芽を出す初動です。複数の成長点から分岐が始まります。ただしこの初動は株によって大きく出る場合と、小さく出る場合があります。

成長点の突起が成長

成長点から発生した突起が成長した様子です。花芽を経験した事が無いと、この突起が花芽と勘違いしてしまうのですが、これは花芽では無く分岐です。いずれ先端から新しい葉が開きます。

茎の分岐が成長

モンステラが花芽を出す初動として確認できる茎の分岐は、複数個所の成長点から確認できる場合があります。写真は枝分かれした分岐が成長する様子です。先端から新しい葉が出てきている事を確認できます。

突起の数が増える

モンステラの突起数が増える現象は、花芽が誕生する間近である証です。これらの突起は花芽では無く、茎の分岐です。

気根の量が異常に増える

モンステラが花芽を出す初動として、気根量が異常に増える現象も確認できます。写真の気根は、幹を支える気根では無く、上に登る為に発生した気根です。少しでも頂上の明るい場所で花を咲かせたいモンステラの気持ちが動きから伝わってきます。

花芽(蕾)を確認

遂に花芽(蕾)が登場しました。花芽が出る初動を2025年5月2日に確認して、約1ヶ月半が経過しました。

花芽(蕾)の斑入りを確認

花芽(蕾)を確認して5日後の様子です。花芽(蕾)にも斑が入っている事が確認できます。

花芽(蕾)が成長

花芽(蕾)を確認して10日後の様子です。花芽(蕾)の全貌が見えてきました。

花芽(蕾)の全貌が現れる

花芽(蕾)を確認して13日後の様子です。花芽(蕾)の全貌が確認できるところまで成長してきました。

モンステラの花芽

花芽(蕾)の斑が鮮やかになる

花芽(蕾)を確認して18日後の様子です。花芽(蕾)の斑が以前よりも鮮やかになってきました。

花芽(蕾)の全貌が現れる

花芽(蕾)を確認して22日後の様子です。花芽(蕾)の数が目視確認できる範囲では5つに増えてきました。

花芽(蕾)がパンパンに膨らむ

花芽(蕾)を確認して35日後の様子です。花芽(蕾)がパンパンに膨らんできました。いよいよ開花が近づいてきました。

蕾が開き始める

花芽(蕾)を確認して36日後の様子です。ついに斑入りの蕾が開き始めました。

開花が近づく花芽(蕾)

花芽(蕾)を確認して38日後の様子です。いよいよ開花しそうです。

FAQ

モンステラの花について寄せられた質問と回答

モンステラに花が咲くまで育てた地植え栽培の用土は、無機質、有機質や市販の用土を使うなど気にしていますでしょうか?

まったく気にしていません。モンステラに花が咲くまで成長した我が家の地植え栽培の土は、マンション建設時の廃材(ビニール、軍手、針金、コンクリートブロック等)まみれの土です。無機質、有機質は、鉢植えで園芸を楽しむ範囲の考え方だと思います。地植えではモンステラが巨大化し、開花し、最後は重たい大きな実が成ります。水苔は使わず、しっかりとした土台作りをまずは心掛け、個人の好みで無機質、有機質にこだわりたいのであればこだわればよい気がします。ちなみにですが、鉢植えは用土ですが、地植えは土壌です。鉢植え(用土)と地植え(土壌)の考え方はまったく別物です。詳しくは以下のページでまとめています。

モンステラが花を咲かせるまで育てる意味とは?

モンステラが花を咲かせるという出来事は、単なる観賞の域を超えた、生命の完成と環境への深い信頼の証である。

モンステラ(Monstera deliciosa)は中南米の熱帯雨林原産のサトイモ科植物であり、本来はジャングルの奥地、樹木に絡みながら成長し、光を求めて天空へとつるを伸ばすエピフィティック(着生)植物です。花を咲かせるには、多くの条件が揃わなければなりません。すなわち、光量、湿度、気温、根圏環境、成熟度、そしてストレスの少ない安定した生育環境など、複雑な要素が絡み合う必要があります。

その中で、特筆すべきは植物の「成熟」という視点です。モンステラが開花するには、もの凄い長い年月を要します。これは単なる経年変化ではなく、植物自身が遺伝的・環境的条件を分析し、「今こそ次世代を託すに値する時」と判断した結果としての開花なのです。つまり、モンステラが花を咲かせるという行為そのものが、育成環境に対する究極の肯定であり、生命の意志の発露だといえるのです。

対照的に、商業的な園芸の現場では、多くのモンステラが観葉目的の葉姿を保つために、繰り返し剪定され、小株として販売されていきます。しかし剪定は、光合成能力の減少やホルモンバランスの乱れを引き起こし、開花への生理的成熟を著しく遠ざけます。剪定は瞬間の行為ですが、成熟には年単位の時間がかかるのです。この差異にこそ、私たちが見過ごしがちな「命の時間」の重みがあります。

また、植物の生理学的な視点からも、モンステラの開花は極めて貴重です。モンステラの花は仏炎苞(ぶつえんほう)に包まれた肉穂花序(にくすいかじょ)という構造を持ち、サトイモ科植物特有のユニークな受粉戦略をとります。本来この花は、コガネムシ科の一部など、熱帯雨林特有の昆虫によって媒介されるものであり、人工的な環境下で開花・受粉・結実まで至る例は極めて稀です。したがって、寒暖差、乾湿差が激しい四季のある日本の一般家庭での開花は、熱帯雨林の縮図を創出したとも言える驚異的成果です。

このように、モンステラを開花させるという行為は、園芸家が植物に対してどれほど深く理解し、共に時を重ね、尊重してきたかの結晶といえるでしょう。

今、問われるべきは次の視点です。

植物をただの「飾り」や「収集物」として消費するのではなく、一つの命として捉え、時間をかけて対話し、成熟を見守り、開花というゴールに寄り添う。そこに、園芸という営みの本質があるのではないでしょうか。

このような関係性は、人間が自然とどう向き合うべきかを静かに問いかけてきます。モンステラの開花は、私たちが自然と築く「信頼」の象徴であり、共生の到達点でもあるのです。

モンステラを育てながら、「いつか花が咲くかもしれない」という希望を持ち続ける行為は、単に園芸の喜びを超えた、命に対する敬意と謙虚さの実践に他なりません。植物を愛し、理解し、待つ。その姿勢があって初めて、私たちは真に豊かな緑と共に生きることができるのです。

モンステラの交配については以下のページでまとめています。

モンステラの開花までの栽培記録

モンステラが花を咲かせるまでの栽培記録を詳しくまとめています

開花直前、斑入りのモンステラの蕾New!!

いよいよ庭で育てている斑入りのモンステラ(オーレア)が開花直前までやってきました。3日前の2025年7月27日(過去の栽培記録はこちら)に確認した時は、ここまでの大きさには成長していなかったのですが、開花に向けて一気に成 […]

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モンステラの交配に向け同時開花直前のモンステラスケルトンと斑入りのオーレアNew!!

モンステラは観葉植物として人気がありますが、日本の首都圏以北では、室内・屋外を問わず一般家庭で花を咲かせるのは非常に稀です。その理由は、モンステラが開花するためには「高温多湿」、「十分な日照」、「長い生育期間」といった条 […]

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モンステラスケルトンからついに花芽(蕾)が誕生

2022年5月10日(過去の栽培記録はこちら)より栽培を開始し、2024年5月6日(過去の栽培記録はこちら)に地植え栽培へと移行させ、2024年から2025年の冬を一度屋外越冬させたモンステラスケルトンからついに花芽(蕾 […]

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脇芽からも花芽(蕾)が展開するカオスな成長をするモンステラ

「植物が花を咲かせる時は体力を使うので肥料が必要」という言葉を耳にしたり目にしたりする事があるのですが、開花に向けてカオスに成長するモンステラの草姿を観察していると、「子孫を残す為、自らが持つエネルギーを全開放してくるの […]

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斑入りのモンステラ
鮮やかな黄斑が入ったモンステラオーレアの斑入りの蕾

2025年7月2日(過去の栽培記録はこちら)の栽培記録で掲載した全斑(フルムーン)に近い葉が固まり、鮮やかな黄斑の葉が姿を現しました。ここまで鮮やかな黄斑が入った大きなオーレアの葉はなかなか見かける事が無いと思います。こ […]

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マンションの庭で栽培している斑入りのモンステラから続々と花芽が誕生

2023年5月3日(過去の栽培記録はこちら)から栽培を開始しているモンステラオーレアに花芽が付きました。モンステラオーレアは、2023年5月3日に同時に2株栽培を開始していて、今回2株のオーレアが同時に開花を迎えました。 […]

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開花が近づいてきた斑入りのモンステラに開いた綺麗な黄斑の葉

開花が近づいてきた斑入りのモンステラ(オーレア)にほぼ全斑(フルムーン)気味な斑入りの葉が開きました。緑の部分がとても多い斑入りのモンステラなのですが、突然斑の面積の方が緑を圧倒した葉が開いてきました。斑入りのモンステラ […]

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黄斑が入ったモンステラの蕾が登場

2023年5月3日(過去の栽培記録はこちら)より栽培を開始し、2025年6月27日(過去の栽培記録はこちら)に花芽を確認した斑入りのモンステラ(オーレア)から、黄斑が入った蕾が出てきました。温室では無く、沖縄等の南国でも […]

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モンステラの花芽
モンステラに花芽が出る際の初動について

2023年5月3日(過去の栽培記録はこちら)より栽培を開始した斑入りのモンステラ(オーレア)からついに花芽が出ました。開花後のモンステラ情報については、沢山あるのですが、開花前の花芽を出すモンステラの初動に関する情報が国 […]

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地植えのモンステラスケルトンや斑入りのモンステラから続々と花芽?の様な突起が展開中

今年(2025年)は地植えのモンステラたちに、いよいよ花芽と思われる突起が出現してきました。花芽を確認したのは2024年5月6日(過去の栽培記録はこちら)より地植え栽培を開始したモンステラスケルトンと、同時期に同じく地植 […]

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