モンステラは観葉植物として人気がありますが、日本の首都圏以北では、室内・屋外を問わず一般家庭で花を咲かせるのは非常に稀です。その理由は、モンステラが開花するためには「高温多湿」、「十分な日照」、「長い生育期間」といった条件を長期間にわたって保つ必要があるからです。特に屋外栽培では、雪も降る寒い冬を越冬させる栽培スキルも必要です。これまで本州以北の一般家庭では、冬越しや開花は難しいと考えられてきました。そのため、モンステラは主に剪定(カット)した茎を使った茎伏せや挿し木、水挿し(水耕栽培)といった方法で増やされています。しかし、剪定を繰り返すことでモンステラが成熟するまでに時間がかかってしまい、結果として成熟した個体が一般家庭で育つ機会が少ないというのが現状です。私がモンステラを栽培している屋外環境(マンションの庭)では、様々な種類のモンステラが越冬し、今年(2025年)はモンステラスケルトンと黄斑のモンステラーレアの同時開花まで到達しました。温暖な南国沖縄でも無く、園芸店の温室でも無く、湘南エリアの屋根の無いマンションの庭で、越冬を繰り返し成熟したモンステラはとても強靭です。

モンステラの交配に向け同時開花直前のモンステラスケルトンと斑入りのオーレア(2025年7月27日の様子)

開花直前モンステラオーレアの一株目です。

モンステラの蕾

本株は、もう一株あるモンステラオーレアと比較すると小ぶりです。実は小ぶりな原因は明確で、根が水苔を抱えたまま成長を続けたモンステラだからです。根に水苔が巻かれた状態で用土(鉢植え)、土壌(地植え)栽培されたモンステラは、必ず生育不良を起こす事を実証する為に年単位で育ててきました。

植木鉢や地面は、モンステラを支える重要な土台です。水苔は発根には適している場合もありますが、有機質ゆえに時間の経過とともに劣化しやすく、安定性にも欠けます。そのため、開花には不向きだと考えていました。ところが実際には、水苔で育てたモンステラも開花しました。ただし、花芽(つぼみ)は小さいという結果でした。この検証は、多くの人がモンステラを育てている「一般家庭の環境」で行ったものです。温室のように植物への負担が少ない環境では、また違った結果になるかもしれませんが、購入者の立場からすると、求められているのは温室ではなく、一般家庭での実例です。

開花直前モンステラオーレアの二株目です。

本株は、根に水苔を抱える事無く育ってきた為、もの凄い立派です。環境の違いによる植物の生育過程での変化を見る際には、数ヵ月単位での成長の違いでは無く、成熟させた状態での比較をしないと明確な違いは得られないです。

そしてこちらは希少なモンステラスケルトンの花芽(蕾)です。

モンステラオーレアの花芽(蕾)と比較するとやや成長にタイムラグがありますが、斑入りのモンステラと交配させ、斑入りのモンステラスケルトンを作出させるにはちょうどよいタイムラグです。

モンステラスケルトンの花芽(蕾)は、葉裏に隠れてしまっている為、動画でも撮影しました。

一般家庭の庭でモンステラを同時開花させ交配ができるという事は、モンステラ自身にここで子孫を残したいと思わせる必要がある為、最低限以下の条件を満たす必要があります。

  • 土壌の水はけ・栄養バランス(肥料は緩効性肥料(マグァンプK)、速効性肥料(ハイポネックス原液)、活力剤(リキダス)の3種類のみ使用)
  • 十分な日照と湿度がある(育てているのは南西の為、午前中は完全な日陰状態)
  • 冬越しも問題なくできている(雪も降る1月、2月を乗り切る体力が必要)
  • モンステラが成熟している(地植えで育てた成熟株でなくては開花しない)

寒暖差、乾湿差が大きい日本の一般家庭で交配されたモンステラは、環境の変化に強く、世界的に見ても類を見ない新種誕生のチャンスでもあります。環境が一定な温室育ちのモンステラと、厳しい環境で育ったモンステラではここまで成長するモンステラに違いが出るという面白いデータも収集しているので、今後これらのデータも栽培記録にインプットしていきます。

モンステラの開花や交配には植物の成熟が必要だということを、多くの人に知ってもらいたいと考えています。こうした情報を広めることで、育てることよりも「集める」「転売する」といった目的が優先され、未成熟な株を切ってお金に換えるような行為が減ることを願っています。モンステラは生き物です。

斑入りのモンステラ(オーレア)の蕾が一気に膨らんできました。いよいよ開花が近づいてきました。詳細は以下の栽培記録でまとめています。

モンステラの開花記録

Monstera Blooming Journal

時系列で栽培記録が確認しやすいようにモンステラの開花記録のみを一覧で以下にまとめています。

2025年9月4日

世界初!?モンステラスケルトンがついに開花・交配開始

2025年8月25日

花が咲くまで成熟したモンステラスケルトンの脇芽をトップカット

2025年8月20日

モンステラは大きく成熟した株でないと花が咲かないという情報は事実でしょうか?

2025年8月15日

全長35センチを超えてきた巨大なモンステラスケルトンの花芽(蕾)

2025年8月5日

なんと!発熱するモンステラの花

2025年8月2日

本格的に姿を現したモンステラスケルトンの花芽(蕾)

2025年8月1日

未成熟な子株のホワイトタイガーからの花芽(蕾)を確認

2025年7月31日

庭で地植え栽培中の斑入りのモンステラがついに開花

2025年7月30日

開花直前、斑入りのモンステラの蕾

2025年7月27日

モンステラの交配に向け同時開花直前のモンステラスケルトンと斑入りのオーレア

2025年7月21日

モンステラスケルトンからついに花芽(蕾)が誕生

2025年7月17日

脇芽からも花芽(蕾)が展開するカオスな成長をするモンステラ

2025年7月11日

鮮やかな黄斑が入ったモンステラオーレアの斑入りの蕾

2025年7月10日

マンションの庭で栽培している斑入りのモンステラから続々と花芽が誕生

2025年7月2日

開花が近づいてきた斑入りのモンステラに開いた綺麗な黄斑の葉

2025年6月30日

黄斑が入ったモンステラの蕾が登場

2025年6月27日

モンステラに花芽が出る際の初動について

2025年5月25日

地植えのモンステラスケルトンや斑入りのモンステラから続々と花芽?の様な突起が展開中

モンステラの開花記録については、以下のページで全てまとめています。

温室では無く首都圏の屋根の無い一般家庭の庭でモンステラを越冬させ花を咲かせる方法

2025年夏、自宅マンションの屋根の無い庭(温室ではありません)で、地植え栽培している複数のモンステラに花が咲きました。本ページでは、花が咲いたモンステラを代表して、斑入りのモンステラ(オーレア)の開花前から開花後までの様子をまとめています。モンステラの開花後の情報は、探すと沢山あるのですが、モンステラ開花直前の情報がなかなか無いため、モンステラが花芽を出す初動、開花前(蕾の状態)、開花の順番でモンステラの花をご紹介致します。なおモンステラを地植えで開花まで栽培している地域は湘南エリアです。モンステラの地植え栽培は、沖縄等の南国まで行かなくても湘南エリアで可能です。温暖な沖縄等の南国エリアで育つモンステラより、むしろ冬に雪も降る事がある湘南エリアで育て上げた方が耐寒性のあるとても強い株に育ちます。またモンステラを育てていらっしゃる方々は、南国よりも首都圏の方が圧倒的に多いと思いますので、モンステラに花を咲かせたい方々のご参考になればと思います。