私はモンステラをより自然界に近い状態で、早く美しく大きく育てたいと思っています。なので鉢植え栽培で使う用土は、自然界に近づける為に有機質の用土を使っています。また、モンステラを早く美しく大きく育てるのにとっても役立つのが支柱になります。私はモンステラ栽培の支柱に透水管(ネトロンパイプ)のみを使っています。この支柱の中に入れている用土は、無機質寄りです。自然界の環境を意識して育てるのであれば、用土は無機質では無く有機質では?と思う方もいらっしゃるかもしれません。有機質の用土で厄介なのが根腐れです。植木鉢であれば根詰まり、根腐れが発生したら植え替えで済みますが、支柱の中で根詰まり、根腐れが発生してしまうと、モンステラを支柱から外さないとならない為、手間のかかる作業になるのと、モンステラにもストレスを与えてしまう事になってしまいます。なのでモンステラ栽培での支柱に使う用土は、無機質寄りとなっています。モンステラ栽培における用土の有機質、無機質の考え方について、以下に整理致します。

そもそもモンステラが育つ大自然の土って有機質、無機質どっち?

大自然の土は、有機質無機質 の両方が含まれています。園芸を楽しむ前に、モンステラが育つ大自然の土について、整理しておきたいと思います。

大自然の土は有機質か?

多くの自然の土壌には有機質が含まれています。 有機質とは、動植物の遺骸や落ち葉、微生物の死骸などが分解されてできた成分 で、土の栄養分や保水性を向上させます。特に、森林や草原の土壌 は有機物が豊富で、黒っぽくふかふかした「腐植(ふしょく)」と呼ばれる層が形成されます。では、大自然に無機質の土は存在するのでしょうか?

大自然に無機質な土は存在するのか?

無機質の土も大自然には存在します。 例えば、火山灰、砂漠の砂、岩が風化してできた土壌 などは、主に無機物(鉱物)で構成されています。特に、以下のような環境では有機物が少なく、無機質が主成分の土壌が見られます。

  • 砂漠の砂(有機物がほぼなく、鉱物成分のみ)
  • 火山地域の新しい土壌(有機物がまだ蓄積されていない)
  • 高山やツンドラ地帯(低温で有機物の分解が進みにくい)

結論

大自然の土には有機質が多く含まれるものもあれば、無機質が主成分のものもあります。 ただし、多くの陸地では長い時間をかけて有機物が蓄積されるため、完全に無機質な土壌はごく限られた場所にしか存在しないのが結論です。私は大自然に近い状態で、モンステラを早く美しく大きく育てる事に主眼を置いている為、有機質の用土で育てるモンステラが多いです。

有機質と無機質な用土の違い

有機質の用土無機質の用土 の違いについて、成分・特徴・用途などの観点から整理してみたいと思います。

有機質の用土は、動植物由来の成分を多く含む土 です。

主な特徴

有機質の用土の主な特徴は以下の通りです。

  • 保水性が高い(水をよく保持する)
  • 栄養分が豊富(植物の生長を助ける)
  • 通気性はやや劣る(水が溜まりやすい)
  • 分解されると性質が変化する(長期間使うと改良が必要)

主な種類

有機質の用土の主な種類は以下の通りです。

  • 腐葉土(ふようど)(落ち葉が分解されてできた土。保水性・通気性・保肥力に優れ、土壌改良に最適。)
  • ピートモス(水苔などが堆積・分解してできた泥炭。酸性で保水力が高く、酸性を好む植物に向く。)
  • バーク堆肥(樹皮(バーク)を発酵・熟成させた堆肥。通気性が良く、微生物の働きも活発になる。)
  • ココピート(ココヤシピート)(ヤシ殻の繊維部分を粉砕したもの。軽くて清潔、水もちもよく、pHは中性に近い。)
  • 牛ふん堆肥(牛のふんを発酵させた堆肥。保肥力を高めるが、においが残ることもある。)
  • 鶏ふん堆肥(鶏のふんを発酵させたもの。窒素やリンが豊富で、元肥として使われる。)
  • もみ殻くん炭(半有機)(もみ殻を炭化させたもの。土壌の通気性・排水性を改善し、微生物の住みかにもなる。)

主な用途

有機質な用土の主な用途は、花や野菜の栽培、観葉植物の培養土、保水・栄養補給のためのブレンドです。

無機質の用土は、岩石や鉱物が風化してできた土 で、有機物がほとんど含まれていません。

主な特徴

無機質の用土の主な特徴は以下の通りです。

  • 通気性・排水性が良い(根腐れしにくい)
  • 分解されにくく、長期間使える
  • 保水性や栄養は少ない(有機質と混ぜることが多い)
  • pH調整がしやすい(植物に適した環境を作りやすい)

主な種類

無機質の用土の主な種類は以下の通りです。

  • 赤玉土(関東ローム層の赤土を粒状にしたもの。保水性と通気性のバランスがよく、基本用土に最適。粒が崩れやすい。)
  • 鹿沼土(火山灰由来の軽石土で、やや酸性。排水性が高く、酸性を好む植物(ブルーベリーや山野草)に向く。)
  • 軽石(火山活動でできた多孔質の天然石。粒状でとても軽い。排水性・通気性が非常に高い。崩れにくく、長期間構造を保つ。根腐れ防止に効果的。表土・鉢底石としても使用される。)
  • 日向土(宮崎県日向地方で採れる軽石。とても硬くて崩れにくく、通気性・排水性に優れる。植え替えにも強い。)
  • パーライト(火山性ガラスを高温で発泡させた白い粒。とても軽く、通気性と排水性を改善するために混ぜる補助材。)
  • 珪砂(けいさ)(石英(シリカ)を粉砕した砂。水はけ・重さを出したいときに使う。粒が細かく、水切れが早い。)

主な用途

無機質な用土の主な用途は、多肉植物・サボテン・盆栽・山野草など、水はけを重視する植物の栽培です。

有機質用土と無機質用土の比較表

有機質と無機質の用土の違いを比較表にまとめると以下の通りとなります。

有機質の用土無機質の用土
特徴動植物由来の成分岩石・鉱物由来の成分
保水性高い低い~普通
通気性普通高い
栄養分豊富少ない
耐久性分解される劣化しにくい
主な用途花・野菜・観葉植物多肉植物・盆栽・山野草

有機質と無機質な用土、どちらを選べばいい?

有機質と無機質の用土を選ぶ選定基準は以下の通りです。

  • 水持ちや栄養を重視するなら → 有機質の用土 を多めに使う
  • 排水性や通気性を重視するなら → 無機質の用土 を多めに使う
  • 一般的な植物には → 有機質と無機質を適度にブレンドして使う

例えば、観葉植物なら「腐葉土+赤玉土」、多肉植物なら「鹿沼土+日向土」 など、植物の特性に合わせて配合するのがポイントです。

まとめ

用土選びは、自らの栽培環境に合う用土を見つける事が大切なので、「これが正解」、「それは間違っている」と決めつける事でも無いですし、押し付ける事でもありません。有機質、無機質の以下の特徴を踏まえ、植物をどう育てたいのか?という考えのもと、自ら最適解を見つける事が大切です。

  • 有機質の用土は栄養と保水性に優れるが、分解されやすい
  • 無機質の用土は通気性と耐久性が高いが、栄養分が少ない
  • 植物に応じて、両方を適切に組み合わせるのがベスト

上記の点を踏まえて、私が実際にモンステラを早く美しく大きく育てている用土についてご紹介いたします。

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