近年、観葉植物市場では「美しい斑入り」がトレンドになっています。特にモンステラでは、SNSを通じて新しいトレードネーム(商業品種名)が次々に登場し、希少性とコレクター性が増しています。本ページでは、2020年代以降に注目を集めた人気の斑入りモンステラ品種を一覧で紹介します。これらのトレードネーム株は、基本的に Monstera deliciosa(モンステラ・デリシオーサ)をベースとした系統が多く、育てやすさや見た目の違いは育種・選抜によるものです。

トレードネームとは? & Monstera deliciosa 系統との関係性

モンステラの世界では、近年「トレードネーム(Trade Name)」という呼称をもつ株が急増しています。これは学術的な学名(botanical name)や正式な園芸品種名(cultivar name)とは異なり、販売・流通のために生産者やナーセリーが独自に付けた商業的な名前です。

たとえば、Monstera 'Shamrock Shake'Monstera 'Ocean Mint' は、それぞれのナーセリーが独自に命名したトレードネームで、正式な学名ではありません。そのため、同じ遺伝的系統でも異なる名前で販売されるケースも存在します。また、これらの多くはモンステラ・デリシオーサ(Monstera deliciosa)をベースとした系統です。かつては「モンステラ・ボルシギアナ(M. deliciosa var. borsigiana)」と区別されていましたが、現在では「葉の厚さ・節間の長さ」といった成長形態の違いであり、遺伝的には同一種のバリエーションとして扱われるのが一般的です。

ポイント

トレードネーム株 = Monstera deliciosa の斑入り変異・選抜株
→ 名前の派手さより、遺伝的背景と育成安定性に注目するのが重要です。

代表的な斑入りモンステラ品種(2020年代~)

2020年代以降、SNSやナーセリーを中心に新たなトレードネーム株が次々と登場しています。これらの多くは組織培養(TC株)によって大量生産が可能になったことで、従来よりも流通スピードが早く、価格も変動しやすいのが特徴です。

代表的なものを挙げると以下の通りです。

  • Monstera 'Shamrock Shake'(シャムロック・シェイク)
  • Monstera 'Masterpiece'(マスターピース)
  • Monstera 'Ocean Mint'(オーシャン・ミント)
  • Monstera 'Devil'(デビル)
  • Monstera deliciosa 'White Lava'(ホワイト・ラヴァ)
  • Monstera 'Viet Truong Sa'(ヴィエト・チュオンサ)
  • Monstera Thai Constellation 'Crème Brûlée'(クリーム・ブリュレ)
  • Monstera Thai Constellation 'Medusa'(メデューサ)
  • Monstera Thai Constellation 'Electrolyte'(エレクトロライト)
  • Monstera Thai Constellation 'Green Snow'(グリーン・スノー)
  • Monstera deliciosa 'Siam Mint'(サイアム・ミント)

いずれもデリシオーサ系統であり、厚みのある葉とゆるやかな節間が特徴です。TC株であるため、同一名称でも育成環境によって色や斑の出方が微妙に異なります。

価格例から見る希少性と流通傾向

斑入りモンステラの価格は、「遺伝的な希少性」よりも「市場の供給量と話題性」に強く影響されます。つまり、初期流通の少ない時期は高騰し、組織培養による量産が始まると急速に下落する傾向があります。たとえば、2022年頃に10万円以上で取引されていた品種が、2025年には数千円台にまで下がる例もあります。このように、TC株は「再生産が容易な人工株」であるため、時間とともにレア性が薄れるのが特徴です。

価格・希少性の目安(一般傾向)

  • 発表初年度:数万円〜数十万円(流通量が極めて少ない)
  • 1〜2年後:流通安定、価格半減
  • 3〜5年後:量産完了、一般市場に普及

日本の家庭環境で育てられるか?

斑入りモンステラは美しく人気がありますが、一般的な日本の家庭環境では非常にデリケートです。温室のような一定環境では安定しますが、季節ごとの温度・湿度変化を受けやすいため、葉焼け・葉先枯れ・根腐れなどのトラブルが起きやすくなります。特に白斑の多い個体は光合成能力が低く、光量と湿度のバランス管理が重要です。

品種選びのコツ

斑入りモンステラを選ぶ際は、「見た目」だけでなく育てる環境との相性を重視しましょう。

選び方のコツ

  • 白斑よりも緑の多い株を選ぶ → 光合成量が確保でき、成長が安定。
  • 根の量・発根状態を確認 → 組織培養株(TC株)は根量が少ないことが多い。
  • 生長点(トップ)に緑が残っている株を選ぶ → 将来も斑が維持されやすい。
  • 販売元の管理履歴を確認 → 湿度・照度に対する慣れが異なる。

まとめ:今後の斑入りモンステラ市場動向

斑入りモンステラの世界は、これまでの「自然変異株」中心から、組織培養による安定供給と新たなトレードネーム戦略の時代へと移行しています。今後は「レア=価格」よりも、環境適応性・育てやすさ・美しさのバランスが重視される時代になるでしょう。

また、モンステラ・デリシオーサをベースにした新しい選抜株や、「ミント斑」「イエロー斑」「トリカラー」などのカラーバリエーション拡張も続くと予想されます。

結論

「希少性を追うより、“長く育てられる1株”を選ぶ」ことが、モンステラを楽しむうえでの本質です。変化の早い流通市場の中で、自分の環境に合った株を見極める目が、これからのコレクターに求められる力です。

世界の斑入りモンステラの種類

私が育てている斑入りのモンステラ

以下は私が育てている日本国内でも手に入る斑入りのモンステラの一部です。斑が鮮やかなモンステラは、綺麗な斑入りの葉を維持しながら大きく育てるのがとても大変です。個人的には鮮やかさよりも育てやすさを重視して株選びをしているので、緑多めの株が必然と手元に多くなります。私は育てたいと思う斑入りのモンステラは全て手に入れました。今育てている株を大切にしながら、いつまでも大きく美しい姿に育てたいと思っています。

モンステラ対コンステレーション
モンステラセブブルーミント

更に多くのモンステラの種類については以下のページでまとめています。

Types of Monstera

モンステラの種類