2023年10月16日(過去の栽培記録はこちら)にマンションの庭への地植え栽培へと移行、2023年から2024年にかけての冬、2024年から2025年の冬と2回の越冬を行ったホワイトタイガーから、本日(2025年8月1日)花芽を確認しました。今年開花する他のモンステラはどれも全高2メートル以上に成長した成熟株ですが、本日花芽を確認したホワイトタイガーは、全高1メートルにも満たない未成熟な子株です。モンステラを開花させる為には成熟させる必要があると思い込んでいたのですが、果たして本当にそうなのでしょうか?「一般家庭でモンステラを大きく育てる事はできない」、「首都圏以北でのモンステラの越冬は不可能」、「一般家庭でモンステラを開花させる事は不可能」など、今までの机上の常識がリアルな実証にて覆ってきましたが、次は「成熟させた株で無いと植物の花は咲かない」という事が実証により覆るかもしれません。
目次
未成熟な子株のホワイトタイガーからの花芽(蕾)(2025年8月1日)
未成熟な子株のホワイトタイガーからの花芽(蕾)をご紹介する前にまずはこちら。アロイドブームの火付け役のモンステラ ホワイトタイガー(アルボ)です。現在もなお、ホワイトタイガーを自宅栽培する購入者の方々から、「白斑のモンステラが茶色くなってしまうので助けて欲しい」とのお問い合わせが大量に届くのですが、もうこの状態になってしまったら復活は不可能です。この写真は、2023年7月5日(過去の栽培記録はこちら)に撮影しました。

白斑のモンステラ、ホワイトタイガー(アルボ)を茶色くさせず、年単位での室内栽培は無理と判断し、2023年10月16日(過去の栽培記録はこちら)に地植えを行いました。

そして2023年から2024年の寒い冬を越冬させ、支柱を外し、茶色く傷んで変色してしまったトップを全てカットした状態が以下の写真です。この写真は、2024年4月7日(過去の栽培記録はこちら)に撮影しました。

そしてこちらは2024年から2025年にかけての冬を越冬させる前に撮影した写真です。2024年12月12日(過去の栽培記録はこちら)に撮影しました。

そして2024年から2025年にかけての越冬明け、2025年4月1日に撮影した写真が以下になります。この写真は、ホワイトタイガー(アルボ)の栽培記録では無く、モンステラスケルトンの越冬明けの栽培記録に掲載しています。

ここから本ヶ所には、マクロコズムの上位互換であるモンステラデリシオーサレースプリズマティックモーフ( Monstera Deliciosa Unknown Lace Prismatic Morph )を2025年5月25日(過去の栽培記録はこちら)を地植えし、ホワイトタイガー(アルボ)は別の地植え箇所へと移動させました。移動後、2025年7月18日(過去の栽培記録はこちら)に撮影した写真が以下となります。

そして本日、2025年8月1日に確認したホワイトタイガー(アルボ)の花芽(蕾)が以下となります。

2回の越冬には成功していますが、未成熟の為、とても小さな花芽(蕾)です。


動画でも撮影してみました。茶色くボロボロになっても花は咲きます。
以下は成熟したオーレアです。比較すると全然違います。


モンステラの花も管理の仕方で状態よく美しく大きくできるのか?管理不足だと小さくなるのか?の確認も取れました。花が弱々しいと、交配後に出来る種も弱々しくなるはずです。本件についても数年後、実証します。そして南国だから、温室だからモンステラは立派に成熟するという考え方も違うのかもしれません。本部分も引き続き事実ベースで全て実証していきたいと思います。
植物の開花条件は、成熟時含め主に以下の場面があるかと思います。
植物の繁殖行動(開花・結実)について
モンステラでは無く少し視野を広げて整理したい為、植物全般の繁殖行動(開花・結実)について整理してみたいと思います。
1. 植物は「子孫を残したい」と考えるのではなく、環境・生理条件に応じたプログラムに従う
- 植物は動物のような神経系や意識を持たないため「意志」という概念は適用できません。
- 繁殖行動(生殖成長への移行)は、長い進化の過程で選択されてきた遺伝的プログラムの発現によって起こります。
このプログラムは、環境シグナル(光・温度・ストレス)と植物体内の発達状態(年齢・サイズ・ホルモン状態)の情報を統合し、「開花期」「結実期」といった繁殖段階へ移行するタイミングを決定します。
2. 生理・分子レベルでの「繁殖スイッチ」
(1) 光周期(フォトペリオド)依存性開花
- 日長感受性(photoperiodism)は、開花の最も重要な外的因子のひとつ。
- 葉で光受容体(フィトクロム、クリプトクロム)が光周期を検知し、CONSTANS (CO) 遺伝子を活性化。
- COはさらにFLOWERING LOCUS T (FT) 遺伝子を誘導し、FTタンパク質(通称「フロリゲン」)が葉から茎頂へ移動、花成(開花)を誘導します。
(2) 低温要求(バーナリゼーション)
- 一部の植物(例えば:小麦、アブラナ科)は一定期間の低温(冬)を経験しないと開花できない。
- 低温によってFLC(FLOWERING LOCUS C)という「開花抑制遺伝子」の発現がエピジェネティックに抑えられ、開花が可能となる。
(3) 年齢・栄養シグナル
- 植物がある程度成長・成熟すると、miR156 → SPL転写因子という「年齢経路」によって開花準備が整う。
- また、炭水化物(糖)や窒素レベルも、開花時期に影響する重要な内的シグナル。
(4) ストレス誘導型繁殖
- 乾燥・高温・栄養不足などの環境ストレスは、ABA(アブシシン酸)やエチレンの作用を介して早期開花を誘導することがある。
- これは「次世代を残すための緊急モード」とも言えるもので、一年草などでは特に顕著に表れる。
3. 進化的背景
- これらの機構は、その環境で最も効率的に遺伝子を次世代へ伝えるタイミングを選択してきた結果として存在。
- つまり「植物が子孫を残したいと思う」のではなく、条件が整えば自動的にそのプログラムが動作する仕組み。
まとめ
- 植物繁殖は「光・温度・ストレス」などの外的要因と、「年齢・栄養・ホルモン」などの内的要因を統合する分子遺伝ネットワークで制御される現象。
- 動物のような意志は介在せず、進化的に固定されたシグナル伝達経路による「プログラム化された反応」と捉えるのが正確。
上記は少し学術的な観点も踏まえてまとめた内容となりますが、結局のところ今までの国内外のモンステラ管理は、販売する事が主軸(ビジネスが主体)だった為、南国や温室しか行われてきていないのだと思います。つまり誰もが生理的な準備が整った時を見計らったモンステラ管理のアプローチしかしてこなかった事が鮮明です。結果、日本の温度変化、乾湿変化をダイレクトに受ける一般家庭で、モンステラを長期維持する事は難しくて当然です。
私のモンステラ管理の方法は、日本の四季に対応した管理を行っている為、越冬もしますし開花もします。そして、厳しい屋外での地植え越冬を経て、恵まれた温室環境では作出する事が出来ないモンステラたちが続々と成長しています。今までのモンステラ交配のアプローチとはまったく別物なので、誰かを頼る事無く、一人で淡々黙々とモンステラ栽培を行っています。
屋根の無いマンションの庭で、日本の寒い冬を屋外で越冬させたモンステラたちが続々と開花し、ついにパラダイムシフトの時がやってきたかなと思います。モンステラの交配に成功したらシフト完了です。
引き続き成長に変化がありましたら、モンステラボルシギアナの栽培記録ページでご紹介致します。
モンステラボルシギアナ(ホワイトタイガー)の栽培記録
Plant Cultivation Record
時系列で栽培記録が確認しやすいように本ページでご紹介しているモンステラボルシギアナの栽培記録のみを一覧で以下にまとめています。
モンステラボルシギアナの栽培記録については、以下のページで全てまとめています。
モンステラ ホワイトタイガー(アルボ)
Monstera Albo White Tiger

Types of Monstera
モンステラの種類
私が現在栽培しているモンステラの種類は、一般的な人気の種類(モンステラデリシオーサ、モンステラボルシギアナ)と、その他の種類(sp. ペルー、アカコヤグエンシス、アクミナータ、アダンソニー(マドカズラ)、エスケレート、オブリクア、サブピンナータ、シルテペカナ、スタンデリアナ、スプルセアナ、ドゥビア、ピナッティパルティタ、レクレリアナ)です。それぞれの詳細については、以下のページでまとめています。