目次
デリシオーサとボルシギアナの違い
私が実際に育てているモンステラで解説
様々なモンステラの種類の中でもモンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの違いがよく比較されます。モンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの違いは、形状の違い、種類の違い、成長の違いの3種類に主に分類されます。形状の違いについての主なポイントは、成熟したモンステラデリシオーサは、葉と葉柄部のつなぎ目に波状のシワ(フリル)が出てくるのに対して、モンステラボルシギアナは、成熟しても波状のシワ(フリル)が出てきません。種類の違いについての主なポイントは、モンステラデリシオーサは、実生株、コンパクタ、イエローマリリン、イエローモンスター、タイコンステレーション、マクロコズム、スケルトン、福助、ナローリーフ、奇形株、羅紗葉変異株など様々な種類があるのに対して、モンステラボルシギアナは、ハーフムーン、フルムーン、ホワイトタイガー(アルボ)、オーレアと斑の入り方による呼び名の違いで分類されています。成長の違いについての主なポイントは、モンステラデリシオーサは、横へと地を這う様な成長をしてから上へと登るのに対して、モンステラボルシギアナは、初期の段階から上へと登る成長をします。モンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの違いは、実際に様々な種類のモンステラを栽培しているととてもよく理解できます。具体的なそれぞれの違いについて、以下にまとめます。
2
種類の違い
モンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの種類の違いについてご紹介致します。モンステラデリシオーサは、コンパクタ、タイコンステレーション(イエローモンスター)、マクロコズムの様に複数の種類に分類されています。これに対してモンステラボルシギアナは、ハーフムーン、フルムーン、ホワイトタイガー(アルボ)、オーレアというように斑の入り方によって分類されています。ただし、モンステラデリシオーサでも、斑の入り方によって、ハーフムーン、フルムーン、イエローマリリンと分類されます。また、羅紗葉や変異株の様に、実生株から発生した奇形個体として販売されているモンステラの種類は、モンステラデリシオーサしかみかけた事がありません。またスケルトンの様にかっこいいシャープな葉に深い切れ込みが入るモンステラは、モンステラデリシオーサの仲間でしか見かけません。
Deliciosa
デリシオーサ
モンステラデリシオーサは、以下の通り種類が多いです。
Borsigiana
ボルシギアナ
モンステラボルシギアナは、以下の通り種類が少ないです。
※モンステラボルシギアナミントは、モンステラデリシオーサボルシギアナミント、モンステラデリシオーサミントブラジリアンフォームなどの名前でも販売されています。デリシオーサ?ボルシギアナ?どっち?と思う株なのですが、実際に栽培しているとボルシギアナに近い株に感じます。本モンステラの詳細は、本ページの下部で改めてご紹介致します。
モンステラデリシオーサ、モンステラボルシギアナ共通で、斑の入り方によって以下の呼び名があります。
3
成育の違い
モンステラデリシオーサは、地を這う様な成長をしながら上へと登って行くのに対して、モンステラボルシギアナは、初期の段階から上へと登って行く成長をします。同じ栽培条件下において、モンステラボルシギアナは、モンステラデリシオーサよりも成長速度が速いと感じます。これはモンステラボルシギアナの方がモンステラデリシオーサと比較して上へと登る成長速度が早いためだと実際に栽培していると感じます。ボルシギアナは約一年半で2メートルの支柱を登り切る程の成長をしますが、デリシオーサは2メートルの支柱を登りきるまでの成長はしません。しかし一枚の葉のサイズは明らかにデリシオーサの方が巨大です。年単位でモンステラを栽培していると、ボルシギアナは上に登る為にエネルギーを使っているのに対して、デリシオーサは大きな葉を広げ横に広がる為にエネルギーを使っているのがとてもよく伝わってきます。
上記でご紹介しているモンステラの栽培開始時の栽培記録は以下のページでまとめています。
セブブルーミントのミッドカット苗の栽培を開始(2023年4月29日)
2023年4月29日の栽培開始時に撮影したモンステラボルシギアナセブブルーミントです。ここから約一年半で2メートルの支柱を登っていきます。本モンステラの成長の様子は、以下のページで時系列に詳細にまとめています。
解体され捨てられる様に販売されていたタイコンステレーション(2021年11月21日に撮影)
2021年11月11日より栽培を開始しているモンステラデリシオーサタイコンステレーションです。本写真は2021年11月21日に撮影しました。ボルシギアナは約一年半で2メートルの支柱を登ったのに対して、デリシオーサは1メートルも支柱を登っていません。本記録を確認しても、いかにボルシギアナの上に登る成長速度が早いかが確認できるかと思います。本モンステラの成長の様子は、以下のページで時系列に詳細にまとめています。
以下は、地植えで育てているモンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナです。地植えで育てるとデリシオーサは巨大な葉を横に広げながらジックリと上へと登っていくのに対して、ボルシギアナは上へ上へと登っていく速度が早い事が更によく分かります。
自然環境に近い環境ではデリシオーサとボルシギアナの違いはどうなの?
植物園の温室で育つモンステラで実際に確認
デリシオーサとボルシギアナの違いは、有機質の土で育てた場合、無機質の土で育てた場合はどうなんだろう?と気になる方もいると思いますが、狭い栽培環境での視点では無く、自然界に近い大きな温室で育つデリシオーサとボルシギアナを比較すれば、ほぼほぼそれが答えなのでは?と感じた為、調べてきました。結論としては、上記でまとめたデリシオーサとボルシギアナの差を明確に確認する事ができました。
Deliciosa
自然界に近い環境で育つデリシオーサの特徴を確認
遠目からも以下、モンステラデリシオーサの特徴を確認する事ができました。
- 葉と葉柄の付け根にフリルが有る。
- 節間が狭い。
- 葉にあく穴の数が多く葉のサイズが1メートル前後で巨大。
Borsigiana
自然界に近い環境で育つボルシギアナの特徴を確認
遠目からも以下、モンステラボルシギアナの特徴を確認する事ができました。
- 葉と葉柄の付け根にフリルは無い。
- 節間が長い。
- 葉にあく穴の数が少なく葉のサイズはデリシーサよりも明らかに小さく50センチ前後。
特異な特徴を持つモンステラ
デリシオーサ?ボルシギアナ?どっち?
上記でご紹介したデリシオーサとボルシギアナを見分けるポイントをまとめると以下の通りとなります。
違いの確認ポイント | モンステラデリシオーサ | モンステラボルシギアナ |
---|---|---|
葉と葉柄部分のつなぎ目(フリル)の有無 | 有り | 無し |
成熟時の葉の大きさ | 約1メートルとされている | 50センチ前後とされている |
葉の形状 | マクロコズムの様に複雑な葉を持つ種類がいる | 複雑な形状の葉を持つ種類はいない |
節と節の間の長さ | 節と節の間が短い | 節と節の間が長い |
生育習性の違い | 地を這う様な成長をしながら上へと登る | 成長初期の段階から上へと登る |
斑入りの種類 | イエローマリリン、イエローモンスター、タイコンステレーション、ホワイトティアーズ、ホワイトモンスターなどの種類がある。 | 斑の入り方でハーフムーン、フルムーン、ホワイトタイガー(アルボ)、オーレアなどの呼び名がある。 |
種類 | 実生株、コンパクタ、イエローマリリン、イエローモンスター、タイコンステレーション、マクロコズム、スケルトン、福助、ナローリーフ、奇形株、羅紗葉変異株など種類が豊富。 | ハーフムーン、フルムーン、ホワイトタイガー(アルボ)、オーレアなど斑入り別の呼び名はあるものの種類としてはモンステラボルシギアナのみ。 |
しかし、上記のパターンに当てはまらないモンステラが存在しますのでご紹介致します。
ボルシギアナの特徴を持つモンステラデリシオーサシエラナ
上記は、向かって左側がモンステラボルシギアナセブブルーミント、右側がモンステラデリシオーサシエラナになります。シエラナは、モンステラデリシオーサの仲間に分類されているのにも関わらず、成熟株であっても以下の通りモンステラボルシギアナの特徴があります。
シエラナはデリシオーサの仲間なのに成熟してもフリルが無い
シエラナはデリシオーサの仲間なのに成熟してもフリルが出てきません。更に成長するとフリルが出てくるのか?葉に入る切れ込みが深く、穴があく成熟株まで育ててもフリルが発生する気配がまったくありません。もし今後、フリルが発生した場合は、以下のページでご紹介致します。
シエラナはデリシオーサの仲間なのに節間が長い
シエラナはデリシオーサの仲間なのに節間がとても長いです。茎の太さもモンステラボルシギアナにとても似ています。
デリシオーサ、ボルシギアナ両方の特徴を持つブラジリアンフォーム
こちらは、モンステラデリシオーサボルシギアナミント、モンステラデリシオーサミントブラジリアンフォーム、モンステラボルシギアナミント等の名前で販売されているモンステラです。名前にデリシオーサとボルシギアナ両方の名前が入ったり、デリシオーサで販売されていたり、ボルシギアナで販売されていたり一体どっちなんだ?というモンステラですが、以下の特徴があります。
- 全体的にはボルシギアナに近い特徴がある
- ボルシギアナに似ているにも関わらず葉が肉厚で傷みにくい
- ボルシギアナに似ているにも関わらずフリルがある
以下写真の通り、モンステラボルシギアナの特徴を持つモンステラなのにも関わらずフリルがあります。
しかもこのモンステラはどんなに成長しても葉に穴があかないそうです。本モンステラの成長の様子は以下のページでご紹介しています。
デリシオーサ?ボルシギアナ?なーんでそんな事いちいち
気になるのか?
まとめ
デリシオーサ?それともボルシギアナ?このページに訪れた方は、成熟前の小さなモンステラの購入を検討している方、購入後に種類が知りたくて訪れている方が多いのですが以下の様な方もいます。
- 自らの知識や主張を発信したくてウズウズされている方
- メルカリでモンステラの購入だけでなく出品もされている方
- モンステラを”育てる”事よりも”売る”事に主眼を置かれている方
たまにメルカリやインスタグラムで発信されているモンステラの写真を眺めていて思うのですが、成熟した立派なモンステラがほとんど出てきません。何の種類なのか判別付かない株ばかりです。本物の成熟したモンステラなら、いちいち出品時に”本物”なんて記載しなくても見れば分かります。
希少なモンステラを求める方が多いと思いますが、モンステラに限らず生き物は希少である事に価値があるのでは無く、大切に立派に育て上げてあげる事に価値があります。入手しやすい一般種であっても立派に育つと、とても魅力的となります。
鮮やかな斑入りのモンステラは高価にも関わらず、群がり求める欲望高き人々が多いと思いますが、斑入りのモンステラは鮮やかであればあるほど葉が傷みやすく、綺麗な状態を維持しながら大きく育てる事が難しいです。人の手が入りすぎて自然界に存在しない様な斑入りのモンステラに魅力を感じるのは高額で売れて儲かるからでしょうか?
モンステラは温室が無い一般家庭でも全然立派に成長します。部屋にもう植物が入らないからと、メルカリに可哀想なモンステラたちが並ぶのでは無く、「立派に育ちすぎてもう部屋に入りませんので株分けします」というモンステラたちが並ぶと、モンステラたちも喜ぶのではないでしょうか?私がメルカリやヤフオクのプロデューサーだったら、葉のサイズが30センチを超えないモンステラは出品不可!というレギュレーションを設けます。その方が買い手も、売り手も、モンステラも気持ち良い取引ができますので。
モンステラの種類にこだわるのでは無く、立派に育て上げる事にこだわる方が増えてくれるといいなと思います。
斑入りとか希少価値が高いとかそんな事はどうでもよくて、立派に育ったモンステラってもの凄い魅力的なんです。
オブリクア、マドカズラ、アクミナータ、エスケレートの違い
私が実際に育てているモンステラで解説
モンステラは、モンステラオブリクア、モンステラアダンソニー(マドカズラ)、モンステラアクミナータ、モンステラエスケレートについても違いがよく比較されます。モンステラオブリクア、モンステラアダンソニー(マドカズラ)、モンステラアクミナータ、モンステラエスケレートの違いの詳細についても、私が実際に育てている株を用いて以下のページでまとめています。
モンステラの種類
私が実際に育てているモンステラを中心にご紹介