目次
- 1 デリシオーサとボルシギアナの違い
- 2 自然環境に近い環境ではデリシオーサとボルシギアナの違いはどうなの?
- 3 特異な特徴を持つモンステラ
- 4 デリシオーサ、ボルシギアナ両方の特徴を持つブラジリアンフォーム
- 5 モンステラデリシオーサとボルシギアナの見分けはやっぱり難しい
- 6 育てやすく観葉価値が高いモンステラ
- 7 オブリクア、マドカズラ、アクミナータ、エスケレートの違い
- 8 モンステラの種類
デリシオーサとボルシギアナの違い
私が実際に育てているモンステラで解説
様々なモンステラの種類の中でもモンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの違いがよく比較されます。モンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの違いは、形状の違い、種類の違い、成長の違いの3種類に主に分類されます。形状の違いについての主なポイントは、成熟したモンステラデリシオーサは、葉と葉柄部のつなぎ目に波状のシワ(フリル)が出てくるのに対して、モンステラボルシギアナは、成熟しても波状のシワ(フリル)が出てきません。ただし、私の育てている成熟したモンステラボルシギアナの一部にフリルを確認できた株もありますが、デリシオーサほど強く波打つフリルは現在のところ確認できていません。種類の違いについての主なポイントは、モンステラデリシオーサは、実生株、コンパクタ、イエローマリリン、イエローモンスター、タイコンステレーション、マクロコズム、スケルトン、福助、ナローリーフ、奇形株、羅紗葉変異株など様々な種類があるのに対して、モンステラボルシギアナは、ハーフムーン、フルムーン、ホワイトタイガー(アルボ)、オーレアと斑の入り方による呼び名の違いで分類されています。成長の違いについての主なポイントは、モンステラデリシオーサは、横へと地を這う様な成長をしてから上へと登るのに対して、モンステラボルシギアナは、初期の段階から上へと登る成長をします。モンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの違いは、実際に様々な種類のモンステラを栽培しているととてもよく理解できます。具体的なそれぞれの違いについて、以下にまとめます。
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種類の違い
モンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの種類の違いについてご紹介致します。モンステラデリシオーサは、コンパクタ、タイコンステレーション(イエローモンスター)、マクロコズムの様に複数の種類に分類されています。これに対してモンステラボルシギアナは、ハーフムーン、フルムーン、ホワイトタイガー(アルボ)、オーレアというように斑の入り方によって分類されています。ただし、モンステラデリシオーサでも、斑の入り方によって、ハーフムーン、フルムーン、イエローマリリンと分類されます。また、羅紗葉や変異株の様に、実生株から発生した奇形個体として販売されているモンステラの種類は、モンステラデリシオーサしかみかけた事がありません。またスケルトンの様にかっこいいシャープな葉に深い切れ込みが入るモンステラは、モンステラデリシオーサの仲間でしか見かけません。
Deliciosa
デリシオーサ
モンステラデリシオーサは、以下の通り種類が多いです。
Borsigiana
ボルシギアナ
モンステラボルシギアナは、以下の通り種類が少ないです。
※モンステラボルシギアナミントは、モンステラデリシオーサボルシギアナミント、モンステラデリシオーサミントブラジリアンフォームなどの名前でも販売されています。デリシオーサ?ボルシギアナ?どっち?と思う株なのですが、実際に栽培しているとボルシギアナに近い株に感じます。本モンステラの詳細は、本ページの下部で改めてご紹介致します。
モンステラデリシオーサ、モンステラボルシギアナ共通で、斑の入り方によって以下の呼び名があります。
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成育の違い
モンステラデリシオーサは、地を這う様な成長をしながら上へと登って行くのに対して、モンステラボルシギアナは、初期の段階から上へと登って行く成長をします。同じ栽培条件下において、モンステラボルシギアナは、モンステラデリシオーサよりも成長速度が速いと感じます。これはモンステラボルシギアナの方がモンステラデリシオーサと比較して上へと登る成長速度が早いためだと実際に栽培していると感じます。ボルシギアナは約一年半で2メートルの支柱を登り切る程の成長をしますが、デリシオーサは2メートルの支柱を登りきるまでの成長はしません。しかし一枚の葉のサイズは明らかにデリシオーサの方が巨大です。年単位でモンステラを栽培していると、ボルシギアナは上に登る為にエネルギーを使っているのに対して、デリシオーサは大きな葉を広げ横に広がる為にエネルギーを使っているのがとてもよく伝わってきます。
上記でご紹介しているモンステラの栽培開始時の栽培記録は以下のページでまとめています。
セブブルーミントのミッドカット苗の栽培を開始(2023年4月29日)
2023年4月29日の栽培開始時に撮影したモンステラボルシギアナセブブルーミントです。ここから約一年半で2メートルの支柱を登っていきます。本モンステラの成長の様子は、以下のページで時系列に詳細にまとめています。
解体され捨てられる様に販売されていたタイコンステレーション(2021年11月21日に撮影)
2021年11月11日より栽培を開始しているモンステラデリシオーサタイコンステレーションです。本写真は2021年11月21日に撮影しました。ボルシギアナは約一年半で2メートルの支柱を登ったのに対して、デリシオーサは1メートルも支柱を登っていません。本記録を確認しても、いかにボルシギアナの上に登る成長速度が早いかが確認できるかと思います。本モンステラの成長の様子は、以下のページで時系列に詳細にまとめています。
以下は、地植えで育てているモンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナです。地植えで育てるとデリシオーサは巨大な葉を横に広げながらジックリと上へと登っていくのに対して、ボルシギアナは上へ上へと登っていく速度が早い事が更によく分かります。
自然環境に近い環境ではデリシオーサとボルシギアナの違いはどうなの?
植物園の温室で育つモンステラで実際に確認
デリシオーサとボルシギアナの違いは、有機質の土で育てた場合、無機質の土で育てた場合はどうなんだろう?と気になる方もいると思いますが、狭い栽培環境での視点では無く、自然界に近い大きな温室で育つデリシオーサとボルシギアナを比較すれば、ほぼほぼそれが答えなのでは?と感じた為、調べてきました。結論としては、上記でまとめたデリシオーサとボルシギアナの差を明確に確認する事ができました。
Deliciosa
自然界に近い環境で育つデリシオーサの特徴を確認
遠目からも以下、モンステラデリシオーサの特徴を確認する事ができました。
- 葉と葉柄の付け根にフリルが有る。
- 節間が狭い。
- 葉にあく穴の数が多く葉のサイズが1メートル前後で巨大。
Borsigiana
自然界に近い環境で育つボルシギアナの特徴を確認
遠目からも以下、モンステラボルシギアナの特徴を確認する事ができました。
- 葉と葉柄の付け根にフリルは無い。
- 節間が長い。
- 葉にあく穴の数が少なく葉のサイズはデリシーサよりも明らかに小さく50センチ前後。
特異な特徴を持つモンステラ
デリシオーサ?ボルシギアナ?どっち?
上記でご紹介したデリシオーサとボルシギアナを見分けるポイントをまとめると以下の通りとなります。
違いの確認ポイント | モンステラデリシオーサ | モンステラボルシギアナ |
---|---|---|
葉と葉柄部分のつなぎ目(フリル)の有無 | 有り | 無し |
成熟時の葉の大きさ | 約1メートルとされている | 50センチ前後とされている |
葉の形状 | マクロコズムの様に複雑な葉を持つ種類がいる | 複雑な形状の葉を持つ種類はいない |
節と節の間の長さ | 節と節の間が短い | 節と節の間が長い |
生育習性の違い | 地を這う様な成長をしながら上へと登る | 成長初期の段階から上へと登る |
斑入りの種類 | イエローマリリン、イエローモンスター、タイコンステレーション、ホワイトティアーズ、ホワイトモンスターなどの種類がある。 | 斑の入り方でハーフムーン、フルムーン、ホワイトタイガー(アルボ)、オーレアなどの呼び名がある。 |
種類 | 実生株、コンパクタ、イエローマリリン、イエローモンスター、タイコンステレーション、マクロコズム、スケルトン、福助、ナローリーフ、奇形株、羅紗葉変異株など種類が豊富。 | ハーフムーン、フルムーン、ホワイトタイガー(アルボ)、オーレアなど斑入り別の呼び名はあるものの種類としてはモンステラボルシギアナのみ。 |
しかし、上記のパターンに当てはまらないモンステラが存在しますのでご紹介致します。
ボルシギアナの特徴を持つモンステラデリシオーサシエラナ
上記は、向かって左側がモンステラボルシギアナセブブルーミント、右側がモンステラデリシオーサシエラナになります。シエラナは、モンステラデリシオーサの仲間に分類されているのにも関わらず、成熟株であっても以下の通りモンステラボルシギアナの特徴があります。
シエラナはデリシオーサの仲間なのに成熟してもフリルが無い
シエラナはデリシオーサの仲間なのに成熟してもフリルがありません。更に成長するとフリルが出てくるのか?葉に入る切れ込みが深く、穴があく成熟株まで育ててもフリルが発生する気配がまったくありません。もし今後、フリルが発生した場合は、以下のページでご紹介致します。
シエラナはデリシオーサの仲間なのに節間が長い
シエラナはデリシオーサの仲間なのに節間がとても長いです。茎の太さもモンステラボルシギアナにとても似ています。
デリシオーサ、ボルシギアナ両方の特徴を持つブラジリアンフォーム
こちらは、モンステラデリシオーサボルシギアナミント、モンステラデリシオーサミントブラジリアンフォーム、モンステラボルシギアナミント等の名前で販売されているモンステラです。名前にデリシオーサとボルシギアナ両方の名前が入ったり、デリシオーサで販売されていたり、ボルシギアナで販売されていたり一体どっちなんだ?というモンステラですが、以下の特徴があります。
- 全体的にはボルシギアナに近い特徴がある
- ボルシギアナに似ているにも関わらず葉が肉厚で傷みにくい
- ボルシギアナに似ているにも関わらず全ての葉と葉柄の付け根にフリルがある
以下写真の通り、モンステラボルシギアナの特徴を持つモンステラなのにも関わらず全ての葉と葉柄の付け根にフリルがあります。
しかもこのモンステラはどんなに成長しても葉に穴があかないそうです。本モンステラの成長の様子は以下のページでご紹介しています。
モンステラデリシオーサとボルシギアナの見分けは
やっぱり難しい
上記のBefore、Afterの写真は、同じ株のモンステラです。Beforeの写真を拡大して見ていただくと、節間がとても長くボルシギアナの特徴がでている事が分かります。しかし、Afterの写真を見ていただくと葉の大きさや形状からデリシオーサである事は一目瞭然です。
特にホームセンターで販売されているモンステラは、この様に一見モンステラボルシギアナなんだけれど、大きく成長させてみるとモンステラデリシオーサだったという株をとても多く見かけます。
上記モンステラのBeforeの状態が、Afterの状態へと3年間かけて変化していく記録については以下のページでまとめています。
デリシオーサとボルシギアナの違いについて本ページではまとめていますが、私自身はデリシオーサとボルシギアナの違いについては、まったく興味がありません。希少価値が高いモンステラの収集だとかにもまったく興味がありません。このモンステラとてもよいなと感じた株を購入し、自然界に生息する本来の姿に近づける様、大きく立派に美しく育て上げ、その成長した姿を楽しむ事に興味があります。
育てやすく観葉価値が高いモンステラ
These are recommended Monsteras.
上記でモンステラデリシオーサとボルシギアナの違いについてご紹介しましたが、デリシオーサやボルシギアナにこだわるよりも、入手したモンステラを大切に育ててあげる事の方が大切であり、モンステラは大切に育ててあげればあげるほどもの凄い観葉価値のある姿へと育ってくれます。実際に私も育てている一般家庭において、育てやすく観葉価値も高いと個人的に感じたモンステラの種類を以下にご紹介します。なお、モンステラの株選びでは、以下の点もとても大切だと実際に育ててきて感じました。
- 斑が入りすぎる斑入りのモンステラ(特にボルシギアナの仲間)は傷みやすいので絶対に株選びから避けた方がよいです。私も鮮やかな斑を持つ高額なモンステラを購入してとても残念な気持ちになった事があります。
- ボルシギアナよりもデリシオーサの方が葉が肉厚なので育てやすいです。ただしデリシオーサは横に広がりながら成長するので場所を取る点はデメリットです。何株も所有してしまうと育てきれなくなってしまいます。
- 福助の様な丸葉のモンステラは、未成熟時は可愛いのですが、成熟するにつれ普通のモンステラとの見栄えに差が感じられず、個人的には観葉価値の高さをあまり感じる事ができませんでした。魅力的な株に出会えれば改めてご紹介します。
- 奇形株は、モンステラらしい丸葉であると成熟時の観葉価値を感じられるのですが、あまりにも乱れすぎる株は避けた方が無難な気がします。乱れすぎると「このモンステラは一体何なんだろう?」と違和感を感じてしまいました。海外で人為的に生み出される自然界には存在しない様な過剰な斑入りのモンステラも同じく違和感を感じてしまいます。何事もほどほどに自然のままの姿が一番美しいと感じます。これも個人的な感想です。
- モンステラの羅紗葉は、とても珍しいのですが成熟株になればなるほど通常のモンステラの様にツルツルの葉に戻ってしまいました。1メートル近い葉になっても羅紗葉を維持する株には出会えた事がありません。
- 根が細いモンステラの種類(特にマドカズラ系の子株)は環境の変化にとても弱い為、冬や季節の変わり目にダメージを受けやすく大きく育てるのが難しいです。特に初心者の方は、寒くなる直前に根が細いモンステラを入手してしまうと、環境の変化が大きい冬場を乗り切る事が難しい為、選ばない方が無難です。
モンステラには様々な種類がありますが、上記の点を踏まえて、育てやすいと感じたモンステラの種類は以下の通りとなります。年単位で栽培できている事を証明する為に、栽培を開始した日付を記載しています。詳細を確認していただければ、それぞれのモンステラの現時点での株の成長・成育状態を確認する事ができます。
オブリクア、マドカズラ、アクミナータ、エスケレートの違い
私が実際に育てているモンステラで解説
モンステラは、モンステラオブリクア、モンステラアダンソニー(マドカズラ)、モンステラアクミナータ、モンステラエスケレートについても違いがよく比較されます。モンステラオブリクア、モンステラアダンソニー(マドカズラ)、モンステラアクミナータ、モンステラエスケレートの違いの詳細についても、私が実際に育てている株を用いて以下のページでまとめています。
モンステラの種類
私が実際に育てているモンステラを中心にご紹介