様々なモンステラの種類の中でもモンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの違いがよく比較されます。モンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの違いは、形状の違い、種類の違い、成長の違いの3種類に主に分類されます。形状の違いについての主なポイントは、成熟したモンステラデリシオーサは、葉と葉柄部のつなぎ目にシワ(フリル)が出てくるのに対して、モンステラボルシギアナは、成熟してもシワ(フリル)が出てきません。種類の違いについての主なポイントは、モンステラデリシオーサは、実生株、コンパクタ、イエローマリリン、イエローモンスター、タイコンステレーション、マクロコズム、スケルトン、福助、ナローリーフ、奇形株、羅紗葉変異株など様々な種類があるのに対して、モンステラボルシギアナは、ハーフムーン、フルムーン、ホワイトタイガー(アルボ)、オーレアと斑の入り方による呼び名の違いで分類されています。成長の違いについての主なポイントは、モンステラデリシオーサは、横へと地を這う様な成長をしてから上へと登るのに対して、モンステラボルシギアナは、初期の段階から上へと登る成長をします。モンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの違いは、実際に様々な種類のモンステラを栽培しているととてもよく理解できます。具体的なそれぞれの違いについて、以下にまとめます。
目次
形状の違い
モンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの形状の違いは主に以下となります。
- 葉と葉柄部のつなぎ目(フリル)の有無(成熟したモンステラデリシオーサにはフリルが有るけれど、成熟したモンステラボルシギアナにはフリルが無い)。
- 成熟時の葉の大きさ(成熟したモンステラデリシオーサの葉は、1メートル近くになるのに対して、成熟したモンステラボルシギアナの葉は50センチぐらい)。
- 節と節の間の長さ(モンステラデリシオーサの節間は、狭いのに対して、モンステラボルシギアナの節間は狭い)。
それぞれの内容に関して、以下にまとめていきたいと思います。
葉と葉柄部のつなぎ目のシワ(フリル)の有無での判別

モンステラデリシオーサは、葉と葉柄のつなぎ目に海外で「フリル」と呼ばれるシワがあります。モンステラボルシギアナは、「フリル」がありません。ただし「フリル」は成熟したモンステラデリシオーサに見える特徴で、未成熟のモンステラデリシオーサには「フリル」が存在しません。
成熟したモンステラデリシオーサの葉と葉柄部のつなぎ目(フリル有り)
以下の写真は成熟したモンステラデリシオーサの葉と葉柄部のつなぎ目です。シワ(フリル)が有る事が確認できます。

成熟したモンステラボルシギアナの葉と葉柄部のつなぎ目(フリル無し)
以下の写真は成熟したモンステラボルシギアナの葉と葉柄部のつなぎ目です。シワ(フリル)が無い事が確認できます。

フリルの有無での判別が難しい場合
成熟したモンステラデリシオーサには、葉と葉柄部のつなぎ目にシワ(フリル)が有るのですが、未成熟のモンステラデリシオーサには、シワ(フリル)が存在しません。以下にフリルが有るモンステラデリシオーサの株と、フリルが無いモンステラデリシオーサの株の写真を並べてみました。
フリルが有る成熟したモンステラデリシオーサ
以下はフリルが有る成熟したモンステラデリシオーサを撮影した写真です。
フリルが無い未成熟のモンステラデリシオーサ
以下はフリルが無い未成熟のモンステラデリシオーサを撮影した写真です。
上記の通り、成熟したモンステラデリシオーサの場合と、未成熟のモンステラデリシオーサの場合で、フリルの有無が変わってきます。
葉の大きさでの判別
成熟したモンステラデリシオーサの葉は1メートル近くになりますが、モンステラボルシギアナは成熟しても葉のサイズが50センチ前後です。実際に私が栽培している成熟したモンステラデリシオーサと成熟したモンステラボルシギアナの葉のサイズを比べてみたいと思います。
成熟すると葉のサイズが1メートル近くになるモンステラデリシオーサ
以下は私が栽培しているモンステラデリシオーサの仲間、イエローモンスターの巨大な葉です。80cm近くもある斑入りの葉です。とても見ごたえがあります。

成熟しても葉のサイズが50センチ前後のモンステラボルシギアナ
以下は私が栽培しているモンステラボルシギアナの仲間、ホワイトタイガーの巨大な葉です。

40cm近くある斑入りの葉です。ボルシギアナとしてはこれが最大サイズに近い葉の大きさです。

葉の大きさでの判別が難しい場合
成熟したモンステラデリシオーサの葉は、1メートル近くまで成長しますが、モンステラデリシオーサの種類には、そこまで大きく葉が成長しない種類もあります。以下の写真は、モンステラデリシオーサ、マクロコズム、コンパクタを並べて比較した時に撮影した写真です。

モンステラデリシオーサ、マクロコズム、コンパクタを並べて比較した時の様子は、以下のページに詳しくまとめています。
関連記事:モンステラデリシオーサ、マクロコズム、コンパクタを比較
複雑な葉の形状(葉に開く穴の数や切れ込みの深さ)
大きく成熟するにつれモンステラの葉には深い切れ込みが入り、無数の穴があいてきます。モンステラデリシオーサの仲間であるマクロコズムと呼ばれる個体は、特に葉の切れ込みが激しく、葉にあく穴の数が多いです。これに対してモンステラボルシギアナは、どんなに葉が大きくなってもマクロコズムほど複雑な葉になった個体を見かけた事はありません。なので特に成熟時、形状が複雑な葉を持つモンステラはデリシオーサの可能性が高いと判断できます。
節と節の間の長さ
モンステラは、葉柄、気根、成長点が発生する茎の付け根箇所に節があります。モンステラデリシオーサは、節と節の間の距離が近いのに対して、モンステラボルシギアナは、節と節の間の距離が離れています。
種類の違い
モンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの種類の違いについてご紹介致します。モンステラデリシオーサは、コンパクタ、タイコンステレーション(イエローモンスター)、マクロコズムの様に複数の種類に分類されています。これに対してモンステラボルシギアナは、ハーフムーン、フルムーン、ホワイトタイガー(アルボ)、オーレアというように斑の入り方によって分類されています。ただし、モンステラデリシオーサでも、斑の入り方によって、ハーフムーン、フルムーン、イエローマリリンと分類されます。また、羅紗葉や変異株の様に、実生株から発生した奇形個体として販売されているモンステラの種類は、モンステラデリシオーサしかみかけた事がありません。またスケルトンの様にかっこいいシャープな葉に深い切れ込みが入るモンステラは、モンステラデリシオーサの仲間でしか見かけません。
デリシオーサの仲間
種類によって以下の様な呼名があります。ただし斑入りの個体については、モンステラボルシギアナの様にハーフムーン、フルムーン、イエローマリリンの様な呼名もあります。
その他のモンステラの仲間
上記については、モンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの種類の違いについてご紹介致しましたが、モンステラには様々な種類がいます。具体的には、sp. ペルー、アカコヤグエンシス、アクミナータ、アダンソニー(マドカズラ)、エスケレート、オブリクア、サブピンナータ、シルテペカナ、スタンデリアナ、スプルセアナ、ドゥビア、ピナッティパルティタ、レクレリアナなどです。それぞれのモンステラの詳細については以下のページでまとめています。
成長の違い
モンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの成長の違いは、生育習性の違い、成長速度の違いに見られます。
生育習性の違い
モンステラデリシオーサは、地を這う様な成長をしながら上へと登って行くのに対して、モンステラボルシギアナは、初期の段階から上へと登って行く成長をします。
以下の写真はモンステラデリシオーサの仲間、タイコンステレーションを真横から撮影した写真です。モンステラデリシオーサの仲間は、写真の様に実生時から成長する株はまずは真横へと成長していきます。

真横へと成長するモンステラデリシオーサの茎を時間をかけて縦に仕立てる事で、根立ち(根上がり)、幹立ち(幹上がり)、支柱仕立てに仕立てる事ができます。以下は本来横へと成長するはずのモンステラデリシオーサの茎を立ち上げながら仕立てた根立ち(根上がり)のイエローモンスターです。

上記はタイコンステレーション、イエローモンスターを例に成長の様子をご紹介致しましたが、デリシオーサの仲間には、実生株、コンパクタ、イエローマリリン、イエローモンスター、タイコンステレーション、マクロコズム、スケルトン、福助、ナローリーフ、奇形株、羅紗葉変異株など様々な種類がいます。詳細については、以下のモンステラデリシオーサのページでご紹介しています。
以下の写真はモンステラボルシギアナの仲間、ホワイトタイガーを真横から撮影した写真です。この写真を見ると明らかな様に、モンステラボルシギアナの仲間は、上へ上へと成長します。その為、モスポール・ヘゴ支柱を立ててあげる事によって、支柱を登りながら成長してくれます。

モンステラボルシギアナの詳細については、以下のページでご紹介しています。
モンステラは他の木などに絡みながら成長する半つる性の植物(つる性の着生植物)で、モンステラボルシギアナ以外でもsp. ペルー、アカコヤグエンシス、アクミナータ、アダンソニー(マドカズラ)、エスケレート、オブリクア、サブピンナータ、シルテペカナ、スタンデリアナ、スプルセアナ、ドゥビア、ピナッティパルティタ、レクレリアナといったモンステラの種類でもココナッツ支柱、モスポール・ヘゴ支柱があると状態よく成長してくれます。支柱の詳細については、以下のページでまとめています。
成長速度の違い
同じ栽培条件下において、モンステラボルシギアナは、モンステラデリシオーサよりも成長速度が速いとされています。ただし、幼少期、成熟時、生育環境、個体差などによって、必ずしもモンステラボルシギアナは、モンステラデリシオーサよりも成長速度が速いとは言い切れない気がします。
実際に栽培していて感じた事は、夏場の成長期はモンステラデリシオーサもモンステラボルシギアナもどんどん成長するので成長速度の違いが感じられないのですが、12月、1月、2月の停滞期に入ると、同一環境下で育てているのにも関わらずモンステラボルシギアナの方が成長する事が確実に早いと私の栽培環境下においてはとても感じます。冬場のモンステラの様子については、以下のページでまとめています。
判別が難しい場合は植木鉢の中に隠れた根本で確認する
外見からモンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの判別が難しい場合、私は株の根元で調べる事があります。以下の写真は、共に白斑が入るモンステラの根元です。植木鉢の上に出ている姿だけでは、モンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの判別が難しかったので、植え替え時に植木鉢から取り出した際に根本部分の比較をしてみました。
上記の写真の通り、同じ白斑のモンステラでも、以下の観点から、モンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナなのかを確認する事ができます。
- 根元部分の節間が狭ければモンステラデリシオーサ。広ければモンステラボルシギアナ。
- 実生の場合(根本に親元の茎が無い場合)はモンステラデリシオーサの場合が多い。
- 根元に切り分けされた節間の長い茎があればモンステラボルシギアナと判別できる。
まとめ
モンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの違いを確認する為の主なポイントをまとめると以下の通りとなります。
違いの確認ポイント | モンステラデリシオーサ | モンステラボルシギアナ |
---|---|---|
葉と葉柄部分のつなぎ目(フリル)の有無 | 有り | 無し |
成熟時の葉の大きさ | 約1メートルとされている | 50cm前後とされている |
葉の形状 | マクロコズムの様に複雑な葉を持つ種類がいる | 複雑な形状の葉を持つ種類はいない |
節と節の間の長さ | 節と節の間が短い | 節と節の間が長い |
生育習性の違い | 地を這う様な成長をしながら上へと登る | 成長初期の段階から上へと登る |
斑入りの種類 | イエローマリリン、イエローモンスター、タイコンステレーション、ホワイトティアーズ、ホワイトモンスターなどの種類がある。 | 斑の入り方でハーフムーン、フルムーン、ホワイトタイガー(アルボ)、オーレアなどの呼び名がある。 |
種類 | 実生株、コンパクタ、イエローマリリン、イエローモンスター、タイコンステレーション、マクロコズム、スケルトン、福助、ナローリーフ、奇形株、羅紗葉変異株など種類が豊富。 | ハーフムーン、フルムーン、ホワイトタイガー(アルボ)、オーレアなど斑入り別の呼び名はあるものの種類としてはモンステラボルシギアナのみ。 |
ただし中にはモンステラデリシオーサとモンステラボルシギアナの判別が難しい場合があります。例えば以下の株です。節と節の間が長いのでモンステラボルシギアナと思いきや、こちらはモンステラデリシオーサです。

モンステラデリシオーサの詳細については、以下のページで更にまとめています。
そして以下の株は、節と節の間が狭いのでモンステラデリシオーサと思いきや、モンステラボルシギアナです。成熟したモンステラボルシギアナは、モンステラデリシオーサの様に節と節の間が狭くなってきます。

モンステラボルシギアナの詳細については、以下のページで更にまとめています。
オブリクア、マドカズラ、アクミナータ、エスケレートの違い
またモンステラは、モンステラオブリクア、モンステラアダンソニー(マドカズラ)、モンステラアクミナータ、モンステラエスケレートについても違いがよく比較されます。モンステラオブリクア、モンステラアダンソニー(マドカズラ)、モンステラアクミナータ、モンステラエスケレートの違いの詳細については、以下のページでまとめています。